あれは何年前の事だったか……いや何十年、何百年かも知れない。
「シルバ、私はちょっと旅に出ることにした。このラボの事はよろしく頼むぞ」
ある日、博士は、ジェラルミンのアタッシュケースを抱えてそう言った。
博士の消息はその日を限りに途絶えた。
博士が何を研究していたかは知らない。
だが、それはとてつもないものだったはずだ。
例えば、人類の未来が大きく変わってしまうようなものかも知れない。
とにかく、博士は究極の大研究をしていたに違いないのだ。
あのジェラルミンのケースの中には、超重大な極秘情報が入っていて、
それを狙う敵から身を守るために博士は、地下に潜られたのに違いない……。
そんなわけで、このラボの中には、私たちキバーンが取り残されたのである。
私たち、と言ったが、ここにはKIBAAN K-411通称シルバという私以外に、
KIBAAN K-411CとKIBAAN K-411Sがいる。
個体差から、それぞれカラー、スルーと呼ばれている。
我々の任務は博士が戻られる日まで、このラボを守ることなのだ……たぶん。
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