|   風のざわめきと同調するように聞こえる小川のせせらぎ。何もかもが
陽に透かされて溶け合うような小さな場所。
 ふいに風が揺らめく。
 青と黄の羽根を持つ二羽のカナリアは、
突然現れた二人の気配に驚いて、居場所を草の上から木の枝へと移動する。
 
 梢に仲良く並び、羽根をふんわりとふくらませる鳥たち。
 だから、二人もまた、そっと寄り添う。
 囁きを歌にしたように鳥たちは鳴き続ける。だから、二人もまた、微笑み合う。
 
 そして、
口づけを交わすように、突つき合う小さなくちばし。
 だから、二人もまた……見つめ合い、そして……。
 そして、その続きは二人には、まだ……。けれど、また今度、ここで。
 
 この
カナリアの鳴く森で……。
 END   
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