| 甘やかな予言が、私の水晶球から溢れ出す。
 崩壊してゆく運命のこの宇宙の中で、
 そこにだけ暖かい気配がしている。
 優しい靄の中で誰かが微笑んでいる。
 何者だろう?
 
 陽だまりの中でまどろむような心地よさ……
 その中に飛び込めたら、どんな気持ちがするのだろう。
 だが、今はそんな時ではないのだ。
 そんな事を求めてはならない。
 総てが動き出そうとしている今。
 ひとつの世界が、終わろうとしている今は……。
 ◆ その大きな扉を開けた時から、始まっている未来。
 私には、全てが眩しくて、それが怖い。
 左手にいらっしゃる首座の守護聖様の神々しさ。
 蒼い瞳に全てが見透かされているようで。
 そして右手に……。
 伏し目がちな黒い瞳は、私を見ない。
 見る価値すらないと思われているのかも知れない。
 
 震える心と体を必死で押し隠して、今、私に出来ることはたったひとつだけ。
 微笑もう……自分を励ますために。
 きっと、怖くない、だから微笑もう……。
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