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『Cahier de olivie』……オリヴィエのノート 

『Cahier de olivie』 
〜乙女のためのノート屋さん〜

 

スモルニィ女学院の校門前には、古い文房具屋さんがありました。置いてあるものといえば、地味なノートや深緑色した鉛筆の類。そんなですからお客さんは、忘れ物をしたうっかりさんが仕方なしに、 休み時間に時々飛び込んで来るくらいです。
それでもなんとかこの店が潰れずにいたのは、新学期に学校指定のものを大量に扱うからでした。

年老いた店主は、店を継ぐ者がいないので自分の代でこの店も終わりだと思っておりましたが、あちらこちらを気ままに旅していた孫息子が戻ってきて、店を継ぐと言い出したのです。
「お祖父ちゃん、店を、少し改装して、品揃えも増やしていい?」
「かまわんよ、お前が新しい店主だ。好きにするといい」 

そして……古い文房具屋は、リニューアルオープンしたのでした。学校指定のノートは、もちろん今まで通りありますが、一番下の棚にひっそりと。他にはいろいろなノートが陳列棚に並びました。
「チャラチャラしたものを置きよって」と最初は渋い顔をしていたお祖父さんも、若いお嬢さんが、放課後よくやって来るようになったので、まんざらでもない様子。
とりわけ人気なのは、昔、デザインの仕事もしていたという店主が選んだ布張りの表紙のオリジナル日記帳です。

ある日、一人の女の子が、日記帳を手にして、さんざん迷ったあげく、ちょっと溜息をつきました。
「おや? どうしたの? 何か気に入らない?」
若い店主は、心配そうに尋ねました。
「いいえ、違うの。お友だちがね、これと同じノートで交換日記をしているの。いいなぁと思って。私もしたいけど……」
「片思い?」
少女は、こくんと頷きました。
「じゃあ、ね、おまじないをしてあげよう」
若い店主は、少女が手にしていた日記に向かって、呪文を唱えました。
“ラブラブフラッシュ〜!”
 聞いたこともない異国の言葉のようでした。
「その相手にこれを見せて、交換日記したいと申し込んでごらん。きっと上手くいくから」
店主はウィンクひとつして、少女の背中を押しました。上手くいったのは言うまでもありませんね。



それから、『カイエ ド オリヴィエ』の日記帳は大人気。
けれども、あんまり大勢の少女たちが、いちどきにやって来たので、店主は呪文を唱えることはやめました。
その代わり、お客さん一人一人のイメージにあった日記帳を心を込めて選んであげることにしたのでした

 

制作中の机の上です。悲惨(^^;

制作メモ

自分の乙女ちっくさに目眩すら覚えますが(笑)

大きさ
 ・本体 高さ170mm×幅95mm×奥行き35mm
 ・ノート 真中の棚の模様付きのもので25mm×30mm程度

本体は、木枠の上に紙が貼ってあり、ガラス張りです。壁掛けになっています。100円ショップの品で、中には造花なんかが入っていたものを、解体して白い布を貼って使っています。
棚はバルサ材に、茶色のリボン貼り。

*ノートの作り方はこちら

『Cahier de Luna』
 
〜カイエ ド ルナ〜

『Cahier de olivie』の、のれん分けです。
お友達へのお誕生日プレゼント兼。

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