CLAVIS SIDE 5


 聖地……。
 ランディは主星での報告書をジュリアスに提出した。
 私の事を思いやってか、私の分の生活費の大半を負担したことなどは一切記さずにいてくれた。私は面倒なので「辻占いをやっていた」と適当な事を言い、誤魔化した報告を出すと、 ジュリアスは渋々私のデータの『デッチボウコウ』の欄に済のフラグを立てた。


 それから一ヶ月……いつもと同じ聖地での日々。相変わらずな日々。私は嫌々、時々、執務室に出向く。ランディは相変わらず元気にしているようだ。特に私との接点もない。たまに会議室や集いの間で顔を会わす程度だ。何もかもが前と変わらなかった……。

 日の曜日になると館の執事が、たまには日に当たれと勧めるので渋々散歩をした。
 館の回りを歩いていると、遠くから私を呼ぶ声がした。微かな声しか聞こえぬので誰が呼んでいるのかはわからないが、うっとうしいのでシカトしたら、その声はもう一段階大きくなって私を呼んだ。

「ク・ラ・ビ・ィ・スさま〜〜っ」
(ランディか……)

 振り返ると、遠くでランディがブンブンと手を振っていたので、私は軽く手をあげて応じてやった。そのとたん、豆粒ほどのランディは、ぐんぐんと駆け寄って来て、アッと言う間に等身大のランディになった。

「はぁはぁはぁ……はぁ……クラヴィスさま、大変です……よぅ、はぁはぁ」
「一体どうしたというのだ?」
「公園に露店が来てるんですよ、バクドナルドが!」
「なに?」
「クラヴィス様は滅多に公園にいらっしゃらないから知らないんですね?日の曜日は、飛空都市や主星との交流日で、公園に露店が出るんですよ。今日はハンバーガー屋が来てて、俺たちがバイトしたあの店と同じフランチャイズチェーン店なんですよっ。一緒に食べに行こうと思って、俺、今お屋敷の方にお迎えに上がったんです」

 ランディはそういうとあの時と同じように強引に私の手首を掴んで引っ張った。

「たった一ヶ月前の事だけど、懐かしいなぁ。何にしようかなぁ〜。俺、やっぱりテリヤキバーガーかなっ、クラヴィス様はポテトお好きでしたね、Lサイズにして半分こしましょうかっ」
「バリューセットはここでもやっているのか?バイトしていた時に貰った全星共通クーポン券は使えるのだろうか?」
「ダメだったら、俺、ご意見箱に投書してやります!さぁ。行きましょう、クラヴィス様っ」

 後日、公園のベンチに仲良く座り、ハンバーガーを食べている私とランディを見た!
と言って、オリヴィエが触れて回ったが誰も本気にしなかったらしい。

 その後……私とランディはお忍びで飛空都市にハンバーガー屋を持つ事になるのだが、その話は、また機会があれば話してやることにしようか……。

★TO BE CONTINUED…?

 



一方その頃ランディは……★ZAPPING RANDY SIDE


貴重なお時間と課金を使ってここまで
読んで下さってありがとうございます。
このお話を読んでクスッとでも笑っていただけたら嬉しいのですけれど。

【STAFF】

CLAVIS SIDE…思惟(ディラックハウス)
RANDY SIDE…直乃あきこ(徳丸書店)

画:えばらことぶき(徳丸書店)

協力
【マクド用語監修】かみむらひさこ様(元トレイニー)
暁(ディラックハウス)

Special Thanks
サーモン荒巻様
しむらかずみ様

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聖地の森の11月 陽だまり