「え? 何だ? うわっ……」ゼフェルは膝を抱えて丸くなってしまった。ジュリアスも頭を抱えて悶絶しつつ、何かと戦っている。

「く……この私を愚弄するかっ、この私は何物にも屈せぬ……のだぁぁぁぁ」

「いやだいやだいやだ……オレは信じない信じない、ルヴァルヴァ……オレを独りにしないで……」

 ゼフェルはルヴァの名を叫びつつ泣いている。

「ゼフェル、しっかりして下さい、オリヴィエっやりすぎですよっ」

 ルヴァはゼフェルの背中をさすりながらオリヴィエを睨みつける。

「ご、ごめん……ってば」

「あれ? オレ……あっ、ルヴァ無事だったのか……」

 意識が戻ったゼフェルは傍らのルヴァを見て言った。

「ゼフェル……どんな悪夢だったんですか?」

「ルヴァがよ、血塗れになって死んじまうんだ……へっへっ、これってオレの願望だな〜」

 自分が何と叫んだのかゼフェルは覚えてないらしい。

「な、なんだよ〜ニヤニヤしやがってよ〜、ルヴァてめー、そんな夢で嬉しいのか?」

「ええ、ええ、とっても嬉しいですよ、ゼフェル」

 一方ジュリアスはまだ頭を抱えたまま、突っ立っている。

「何だったのだ……今のは?」

「ジュリアス様、何をごらんになったのですかっ」オスカーは興味津々で尋ねる。

「いや……大した……事はない……ふぅ」ジュリアスは平然を装うが息は荒い。

「ふっ……椅子に縛られて口の中に焼き飯を突っ込まれる夢でも見たか……」

 クラヴィスがそう言うと、カッと赤くなったジュリアスだった。

「オリヴィエ、その技は少し危険なようですね、人の心に土足で入るような事をしてはなりません……いかに相手が悪党であってもです。ヘタをすると神経を汚染してしまいますからね」

「うん……ごめんね、二人とも……もうちょっと改良するよ、ナイトメア(改)とか」

 オリヴィエは素直に謝る。

「何っ、今の悪夢はそなたがっ」

「てめー、よくも〜〜っ、ブチ殺してやるぅぅぅ」

「あ〜れ〜っ。やめてったらぁぁぁぁ〜」

 サクリアーズ秘密基地にオリヴィエの絶叫がこだまする……。

 


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