「ところで、質問なんだが……、あのヘリはどうやってここから飛ばすんだろう?」

 オスカーは気まずい雰囲気を打ち消すように言った。

「あー、それはですね、いいですか、よく見ててくださいよ」とルヴァは言うと何やらスイッチを押した。すると壁面のパネルに電源が入り、外の風景が映った。

「これは聖地の西側です、下界と聖地の境目にあたり、つまりはこの基地の真上ってわけです」

 壁面パネルに映っている聖地の西側の山肌をじっと見ていたジュリアスはルヴァに詰め寄る。

「そなた、しばらく前に地質調査だと言ってショベルカーで穴を掘らせていたが……もしや?」

「あ、はははは〜すみませんねぇ、とにかく、まぁ見てもらいましょうかね。ではっ、主電源接続、安全装置解除、第一ハッチオープン、サクリアエンジェル一号機発進っ」

 とルヴァが叫ぶと、ガタンと音がし先ほどのヘリが台座ごとスルスルと天井めがけて上がってゆく。

 鈍い音を立てて、第一ハッチ……天井が開くとその中にヘリは吸い込まれてゆく。

「……とまぁ、こういう仕掛けでしてね、この後、第二ハッチと第三ハッチが開いて聖地の外に直接発進できるようになってます。今は誰も乗ってませんから、ここまでしかできませんがねー、戻ってくる時はヘリの中からパスワードを送信すると第二ハッチまでは開くことができます、その後、中から私が第一ハッチを開けるようになってますー、あー、この回路の設定はですねー、こちらの制御基盤とメインの合成タンパク質で出来た中枢部に接続されてましてね、パスワードを入力すると第七制御プログラムが走りましてそこで解析されて……」

「ルヴァ、ちょいとルヴァ、誰もそこまで聞いてないってば〜、アンタって凝り性だったんだね」

 とオリヴィエが止める。

「あー、すみません、つい。とにかくまぁ、便利なようになってます」

「はいはい、わかったよ、司令。頼りにしてるからさ、ね」

オリヴィエはルヴァの肩をポンと叩くともう一度、「シ・レ・イ」と繰り返した。

 


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