あ と が き
 
 ◆最後までお読みいただきありがとうございました。

『水夢骨董堂細腕繁盛記3』を出してから5年目の秋は、巴里編ではなく老上海、時間も1927年に戻ってのお話となりました。昔、あれだけ必死になって読みあさった当時の上海の記録も、朧気になってしまい、慌ててちょっとだけですが読み返しました。
いつもながらに判らないなあ、と思うのは当時のお金の感覚です。老上海には、『元』、『円』、『ドル』が飛び交っていたでしょうし、租界の物価と、城内の物価では、ぜんぜん違ったのでしょうし。生島治郎氏の小説の中に、千元あれば一流ホテルに泊まって贅沢三昧の暮らしをしても半年は持つ……という件があり、そこから水晶玉のお値段を借用しました。

ラストに出て来る『浦東』という地区は、十年ほど前に開発計画が成され、劇的に変化した場所です。現在では、金融貿易の高層ビル、テレビタワー、ホテル、空港までがある上海発展の象徴となる最先端地区となっています。橋が架かっているのかどうかちょっとハッキリしませんが、SFチックな地下道で、租界や南京路のある地区と繋がっています。

今回の悪役であるSONカンパニーのリチャード・孫は、実在の人物である袁世凱(えんせいがい)の子かも……という設定です。後になって別にそういう設定じゃなくてもいいんじゃないか……という気はしたものの、この『上海ダンディシリーズ』(シリーズなのかっ?)の中で、もうちょっと引っ張ろうかな……という目論見があってこうなっちゃいました。
西太后くらいはなんとなく知ってるけど、袁世凱とか孫文とか、歴史教科書の後の方で習ってないし聞いたこともないよ……という人もいらっしゃるかも。水夢はパラレルものですので、史実に忠実であるのは心がけている態度で、実際には違うよ……というところも多々ありますし、あんまり気にしないで雰囲気で読み流してくださって良いのてずか、中国の略史を書いておきますと、
1911年・辛亥革命で清朝が崩壊
1912年・中華民国成立
1921年・中国共産党創立
となってます。

巴里編とは違って、オスカー、ジュリアス、クラヴィス、そしてカティスが、登場させられたのが、書いていて楽しかったです。あ、ちょっとだけランディも出て来ましたね。
来年は、どんなお話しになるか判らないですが、来年に向けてネタ探しを心がけておきましょう。ぜひお気軽に感想などお寄せ下さい。それでは、また、再見!
 

2005年10月 思 惟

 

 

水夢骨董堂TOP 聖地の森の11月TOP 掲示板 水夢読みましたメールフォーム